整骨院の保険施術について(健康保険取り扱い)についてわかりやすい解説
保険施術が適用される条件とは
整骨院で健康保険を用いた施術(保険施術)を受けるためにはいくつかの明確な条件があります。
まず対象となるのは急性の外傷であり具体的には捻挫、打撲、挫傷(肉離れ)など原因がはっきりとしている怪我に限られています。これらの損傷はレントゲンで確認できる骨折、脱臼とは異なり軟部組織(筋肉、腱、靭帯など)の損傷を指します。
重要なポイントはこれらの症状が「急性」であることです。
つまり受傷からおおむね2週間以内の症状が対象となります。時間が経過し慢性化した症状については原則として健康保険の適用対象とはなりません。
保険が適用されない場合
以下のような場合は健康保険による施術を受ける事ができません。
・仕事中に発生したケガ:労働者災害補償保険(労災保険)の対象になります。
・交通事故による怪我:自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の対象になります。
・第三者による暴力などによって負ったケガ:第三者行為による障害として扱われ健康保険適用されません。
これらの場合、それぞれ保険制度が適用されるため整骨院も対応は可能ですが健康保険による3割負担での施術はできません。
保険施術の特徴と現状
健康保険が適用される場合、患者様の負担は通常3割となります。施術内容としては電気治療、低周波、超音波、マイクロ波、ローラーベット、簡単なマッサージ、運動療法、包帯固定、テーピング、アイシングなどです。
整骨院では保険診療に加えてさまざまな自費診療を組み合わせた施術を提供しています。
保険診療には施術部位の部位箇所に制限があるからです。
例えば腰部捻挫、背部挫傷、頸椎捻挫の3部位となると他の腕や膝、足首は保険対象外になります。
患者様の訴えに応えて施術すると手数が増えて無償として施術することになります。
請求部位以外の訴えに関しては+数千円の施術料金が発生するという形になります。
中には急性症状+慢性症状を組み合わせた混合の施術を負担+自費診療で行う整骨院が増えています。
自費診療で対応するメニュー
多くの整骨院では以下のような症状や目的に対して、自費診療(自由診療)として施術を提供しています。
・慢性的な肩こり、腰痛
・疲労回復のための全身マッサージ、ストレッチ、筋トレ指導など
・姿勢矯正 骨盤矯正
・外反母趾矯正
・小顔矯正などの美容目的の施術
・スポーツ選手のコンディショニング
・産後のケア
これらのメニューは健康保険の対象外であるため全額自己負担となります。
患者様のあらゆるニーズに応えるために重要なサービスとなっています。
保険施術における問題点と注意事項
残念ながら整骨院業界では健康保険の適正な運用に関して問題があるケースが見受けられます。
具体的には
・慢性の肩こりを「肩関節捻挫」と診断して保険請求とする
・日常的な腰痛を「腰部捻挫」として扱う
これらの行為は「不正請求」にあたります。なぜなら健康保険はあくまで原因のはっきりした急性期の外傷に対する施術を目的としており、慢性的な症状や予防的なケアには使用できないからです。
部位転がし
「部位転がし」と聞いて、何となくイメージはできるけれど正確な定義については知らない方も多いかもしれません。一言でいうと、部位転がしとは「同一患者において負傷と治癒を繰り返す」行為のことを言います。
部位転がしの特徴としては
・負傷部位か1部位または2部位であること(3部位未満)
・短期間のうちに治癒と負傷を繰り返していること(3か月未満)
・結果として、同一施術所における同一患者の受療期間が長期となっていること
があります。
不正請求がもたらす社会的影響
このような不正請求は単に整骨院と患者様の間の問題だけでなく社会全体に大きな影響を及ぼします。健康保険制度は国民全体で支えあう仕組みであり不正な請求が増えればそれだけ医療費が膨らみ結果的に国民全体の保険料負担の増加や将来の保険制度の存続そのものに影響を及ぼす可能性があります。
私たちの大切な税金で成り立っている医療保険制度を維持していくには1人1人が制度を正しく理解して適切に利用することが不可欠です。








